シティズンデータサイエンスラボ
データビークルの最高製品責任者であり統計家の西内啓がデータ活用で成果をあげている企業・組織のキーパーソンの方とデータサイエンスの現実について語り合う対談シリーズ。
データを活用してエビデンスに基づいた経営判断を行いたいと考えるすべての人に。「データでもっと儲ける方法 ~経営とマーケティングのためのアナリティクスデザイン~(著:西内啓/発行:翔泳社)」の全文を公開します。
解析単位を選ぶコツ 前節ではアウトカムを定義するためのコツを説明しましたが、ここでは解析単位について考えます。第1章のデータ整備のところで「活用のためのデータを何に対して1行ずつにするか」を述べましたが、これが「解析単位は何にするか」と考えることと同じことです。 データ整備の説明の時にはどのような切り口にしたいか考えましょう、と書きましたが、実はこれにも明確なルールが存在しています。第1章で述べた特徴と重複もありますが、「解析単位」を決める時には次の4つに気をつけましょう
メディアだからこそ思想的なことが言いやすかった西内 日本経済新聞社さんの「強み」はどのようなところでしょうか? 山内 われわれの一番の強みは何かと言われたら、日経IDをつくったことが大きかったのではないかと思います。顧客を特定し、どうタッチポイントをつくっていくかというコンセプトが大切で、それがブレなければデータ分析がちゃんとできます。 もう一つ重要なことは、データ分析がそもそもメディアとの親和性が高かったということが言えます。新聞記者はいい記事を書かなければいけなくて
パッションを持って取り組んだら理解者が現れた西内 解約を防止するために読者にメールを送信する実証研究をされたり、リテンションのためのコンテンツを製作されたというお話を伺いましたが、多くの会社はそこまで行き着くことがありません。御社はなぜそこまでできたのでしょう? 山内 自分で言うのもなんですが、パッションですね(笑)。 はじめはただデータを見るだけでしたが、見ているだけでは何も変わらなかった。もう少し深いデータを見て、みんなが知りたいことをピンポイントで届けたら変わるか
感覚ではなく、数字を見てサービスをつくるほうが成果が出る西内 山内さんはこれまで、統計学についてどのような勉強をしてこられたのでしょうか? 山内 私は東京大学文学部の出身なのですが、専攻していた社会学の社会統計の講義などで、統計的な視点から分析するという勉強をしました。日経新聞に入社してから統計的な素養でビジネスを回すようになったのは、日経電子版が登場し、デジタル化して以降です。もともと新聞社には、データがあるようで無いんです。 西内 新聞の購読に関しては、誰が買ってい